新年度である4月は夏季の体力測定に向けて、主として運動プログラムで体つくり運動を行なっていますが、裏プログとして熱い戦いが始まっています。
子ども達が大好きな『野球盤ゲーム』を実写化し、『リアル野球盤ゲーム』と名付け、お楽しみ会のプログラムとして行っています。
試合前にはルールをしっかりと確認します。
※④には現在得点板とカウントボードが新たに追加しています。
使用する道具は安全面に配慮したプラスティック製のバットとゴムボール。
ゴムボールは3種類用意しており、通常の大きさのボール、わざと大きく膨らませたボール、変化球ボールがあります。
※ボールの大きさの違いは『ねらい①』に記載しています。
空気を多く入れて軽くし、打った時に上りやすくしています。
予測不能なカーブやバウンドをします。
前回ボッチャで使用した大西手作りスロープもピッチングマシーンとして大活躍です。
各1人ずつ実在するプロ野球チームのチーム名、エンブレムが与えられます。チーム名は人数上被るため、自身の名前を入れてオリジナルチームとします。(例:阪神タイガース→みかんタイガース)
試合は公式戦として全チーム総当たり。
リーグ戦ではなく、対戦表に○が1番多くついたチームが優勝となります。
試合が始まると子ども達の顔は真剣です。
バッターは塁に出るためヒットをねらい、ピッチャーはバッターに打たせないように慎重にボールを選びます。変化球用ボールや大きめのボールを上手に使って、バッターを翻弄します。
変化球のすごい曲がり具合に固まってしまう子ども達ですが、慣れるとボールの軌道を読んで打ったり、選球したり徐々にコツを掴んでいます。
守備では役割が4つあります。
守備の時間はこの4つをチームでローテションします。
ホワイトボードに掲示されているので自身で確認し配置につきます。
実際の野球とは少し違った部分はありますが、各役割につくことによって、野球のルールを徐々に覚えていくことができます。
得点板・カウントボードは、初めは職員が行っていた作業ですが今では職員の『ストライク』『ボール』『ワンナウト』の声に合わせて自身でカウントできるようになりました。
ランナーがホームに入ると得点を表示することもできるようになりました。
優勝チームには手作り優勝カップ、2位3位のチームには手作りトロフィーを用意しています。
試合前は、子ども達に『○○チームは何を目指しますか?』とインタビューすると『優勝!』『3位には入りたい』など上位を目指している声が多数でした。
プログラムはお楽しみ会としていますが、運動に繋がる動作としてのねらいが2つあります。
【ねらい①】力のコントロール
野球に限らず、これまでの運動では何も考えずに『力をフルに使う』ことが多く見られましたが、今回は効率的な力の使い方を身につけることを目指します。
本来ボールが高く上がって入るホームランですがホームランの的を敢えて下に配置し、力を抑えたバッティングを指導します。
強く打ちすぎて球場(段ボール)を超えるとその場で一発攻守交代となるルールで、力をフルに使わなくても力をコントロールすることによって『打球が的に入る』ということを体で覚えていくことができます。
またボールを3種類用意しており、大きく膨らませたボールは軽くて弾みやすく、球場を超えやすい。変化球ボールは軌道が変化する上、重さがあるためバットに当たっても飛びにくい。そのような特性も考えて打つことができるように工夫しています。
【ねらい②】チームスポーツの連携した動作
これまで行ってきたチームスポーツでは、味方同士での連携した動作が見られず個人種目化となっていました。チームスポーツは個人種目では感じることができないチームで点を取る喜びやポジションの役割分担などチームスポーツならではの楽しさを感じることができます。
今回の『リアル野球盤ゲーム』を通して、チームで点を取る楽しさを感じた子ども達。今後取り組むスポーツでは、味方にパスをもらうための予備動作や空いたスペースに飛び込むなど、連携した動作を増やしていきたいと考えています。
勝敗が決まるスポーツのため、負けてしまうと悔しさのあまりチームのせいにしてしまう場面も見られます。しかしそれも成長へのひとつとして、チームスポーツは一人では勝つことができないことを理解し、チームで協力して勝つことの喜びを感じてもらえたらと思っています。
優勝カップを手にするのはどのチームか、7〜8月予定の表彰式が楽しみです。